研究課題/領域番号 |
12740261
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体地球物理学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
神田 径 京都大学, 防災研究所, 助手 (00301755)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2001年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2000年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 火山観測 / 地磁気全磁力 / 熱消磁 / 口永良部島 / 衛星通信 / シミュレーション / 熱輸送 / 磁化 |
研究概要 |
今年度は、年次計画に従い、衛星通信を利用した口永良部島火山での全磁力連続観測を前年度から継続して行った。2001年春頃より、地震活動の活発化とともに新岳南側の観測点で全磁力値が減少傾向を示し、熱消磁現象を捉えている可能性が見出された。火山地域で観測される地磁気変化には様々な成分が含まれるので、この変化が火山活動に起因した変化かどうか、地点差データの定常成分を補正する時系列予測フィルターを開発した。その結果、2001年4〜5月頃より、まず新岳火口南の観測点(C1)が減少を始め、やや遅れて古岳南の観測点(Bl)も減少を始めたことが明らかとなった。両者の変化は10月半ば頃までにほぼ同じ変化量(〜5nT)となり、一旦変化が止まった状態で推移したが、11月終り頃より再びC1・B1共にほぼ同じ変化率で減少を始め、現在も消磁が進行していると考えられる。また、前年度から開発を行っている全磁力数値シミュレータを3次元へと拡張した。直方体状物体の集合により任意の磁化構造を計算することができるので、口永良部島火山の実際の地形をモデル化し、観測された熱消磁的変動を説明する磁化構造変化モデルの構築を試みた。これまでのところ、数値的に説明できるモデルは得られていないが、傾向としては、新岳火口直下1km以浅で消磁が始まり、やや南方へ拡大してゆくモデルが最もよくデータを説明している。一方、深部から浅部へ徐々に消磁が進行してゆくモデルでは観測されたデータの傾向を説明できないことがわかり、火山体浅部に熱の蓄積場が存在することが示唆された。モデル化のために行った比抵抗構造調査と自然電位調査の結果からは、火山体浅部に低比抵抗層が広く分布し、緩やかな自然電位正異常を形成していることがわかった。これらは、熱水対流系が存在し蓄熱場と密接に関連していることを示唆するので、今後、熱輸送モデルに組み入れる必要がある。
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