研究課題/領域番号 |
12740355
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
無機化学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石井 和之 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20282022)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2000年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 励起エネルギー移動 / 電子移動 / ポルフィリン / フタロエアニン / 時間分解ESR / フタロシアニン |
研究概要 |
本研究では、酸化状態の異なるダイマーの励起状態を明らかとすることを目的とする。今年度は、安定な3つの酸化状態をとるビス(テトラアザポルフィリナト)ルテチウム錯体(Lu(TAP)_2)について、時間分解ESR(TRESR)による研究を行った。ここで、中性ラジカルとして合成される[Lu(TAP)_2]^0、その酸化種[Lu(TAP)_2]^+、及び還元種[Lu(TAP)_2]の励起状態について調べた。その結果、(1)2つのTAPラジカルから構成される酸化種[Lu(TAP)_2]^+の最低励起状態は、TAPビラジカルの三重項状態に相当し、励起は100%2つのユニットに非局在化していること、(2)2つのTAP配位子から構成される還元種[Lu(TAP)_2]の最低励起三重項状態では、励起子と電荷共鳴電子配置が混合し、その電荷共鳴電子配置の寄与は38%であること、(3)TAP配位子とTAPラジカルから構成される[Lu(TAP)_2]^0では、励起二重項→基底二重項間の速いスピン許容遷移により、TRESR信号が観測できないことなどを明らかとした。(1)と(2)は、酸化状態の異なる励起三重項状態をTRESRで観測した初めての例であり、重要である。また(1)は、強い反強磁性的相互作用を有する三重項ホモビラジカルの初めてのESR観測例であり、これより反強磁性的相互作用の新規解析法を提案することができた。このように、酸化状態の異なるそれぞれの励起状態の特徴を明らかにできた。
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