研究概要 |
固/液界面である、溶液に湿潤した陰イオン交換樹脂上での対イオンの構造解析、及び、液体表面に配列した両性イオン性界面活性剤と陰イオン・陽イオンについてそれぞれ透過法、全反射全電子収量法を用いて、高エネルギー加速器研究機構放射光研究施設BL-10B、7CでXAFS測定し、局所構造解析を行った。 陰イオン交換樹脂としてロームアンドハース社製アンバーリストA-21, A-26を、対イオンとしてBr-を用いた。この樹脂を水、メタノール、アセトン、アセトニトリル、ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルフォキシドで膨潤させてXAFS解析を行ったところ、プロトン性溶媒ではBr^-の水和構造に非常に近い構造が得られた。これはイオン交換樹脂上で臭化物イオンが強く溶媒和し、一部は樹脂を離れバルク中で溶媒和しているのではないかと考えられる。また、非プロトン性溶媒中では解析された各構造間に違いは見られず、乾燥した樹脂上でのBr^-局所構造とほぼ一致しているために、Br^-は樹脂上に留まり、溶媒の影響をあまり受けていないことが分かった。 両性イオン性界面活性剤DDABS(N-dodecyl-N, N-dimecyl-ammonio-butane-sulfonic acid)とさまざまな濃度のZnCl_2、ZnBr_2、ZnI_2、ZnClO_4及びCu塩を下層溶液として全反射XAFS測定し、表面でのCu^<2+>、Zn^<2+>、Br^-の局所構造解析を行った。Br^-は表面近傍でDDABSのアンモニウム基と水分子を介さず直接相互作用し、Cu^<2+>、Zn^<2+>はスルホン基に水和構造を保ったまま引き寄せられていることがわかった。また、吸収端ジャンプ量から表面吸着量を見積もったところ、表面のDDABSに対し、Br^-はラングミュア型で吸着しており、Cu^<2+>、Zn^<2+>はClO_4、I_2、Br_2、Cl_2の順で吸着量が減少していることがわかった。
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