研究概要 |
本年度は,昨年度に引き続き植物に特異的なRab/Ypt GTPaseファミリーに属するAra6の機能解析を行った.Ara6は,動物細胞において初期エンドソームの融合を制御することが知られているRab5に最も高い相同性を示す.その一方で,Ara6はこれまでに他の生物より単離されているRab/Ypt GTPaseに全て保存されている,カルボキシル末端のイソプレニル化のコンセンサス配列を持たない等,非常にユニークな構造上の特徴をもつ.GFP融合タンパク質を,シロイヌナズナ培養細胞のプロトプラストに一過的に発現させたところ,この融合タンパク質は細胞質中のドット状のオルガネラに局在した.このオルガネラは,エンドサイトーシスのマーカーであるFM4-64によっても染色されることから,Ara6が局在しているオルガネラはエンドソームであることが明らかとなった.また,Ara6のエンドソームへの局在化には,アミノ末端の脂質修飾,ヌクレオチドの結合,カルボキシル末端のアミノ酸配列が関与していることも明らかにした. 続いて,シロイヌナズナゲノムにコードされている動物型のRab5ホモログ(Ara7,Rha1)についても全て単離し,その細胞内局在を解析した.その結果,いずれの分子もエンドソームに局在していることがわかった.このことから,シロイヌナズナにおいては,エンドソームの融合を,植物特異的なRab/Ypt GTPaseであるAra6と2つの動物型Rab5ホモログの合計3つの低分子量GTPaseが協調的に制御していることが示唆された. 以上の結果の前半部分は,本年度EMBO Journalに発表した.
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