研究課題/領域番号 |
12740482
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人類学(含生理人類学)
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研究機関 | (財)日本モンキーセンター |
研究代表者 |
中村 美知夫 (財)日本モンキーセンター, リサーチフェロー (30322647)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2000年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 毛づくろい / 霊長類 / 社会行動 / チンパンジー |
研究概要 |
本年度はおもにこれまでに蓄積してきたデータの分析および論文の執筆をおこなった。野生チンパンジー(Pan troglodytes)の毛づくろいデータの整理、分析から、対角毛づくろいと呼ばれる特別なパターンの毛づくろい(対面的に右手同士もしくは左手同士を宙で組んで、互いに逆の手で相手の脇の下を同時に毛づくろいするというもの)の発達過程において、母親が積極的に子供の腕を取ってそのパターンにしている可能性が示唆された。定量的かつ厳密な検証のためにはもう少しデータを蓄積する必要があるが、このことが証明されれば、野生動物において積極的な教示行動があるというはじめての定量的データということになる。他の霊長類種に関しては、おもに関連文献を多数収集して分析したが、そもそも他の霊長類で同時双方向的な毛づくろいについてはほとんど報告例がない。また、本研究における飼育下での霊長類種の毛づくろい行動の観察からも、チンパンジー以外にこのようなパターンの毛づくろいがないという点は支持されている。 霊長類の毛づくろいの比較をしようと、少し詳しく観察をおこなうと非常に膨大な行動上の差異があることが明らかになった。しかも、チンパンジーの例が示唆するように、このような中には、ある意味で「文化的」に形作られてくるものもある可能性がある。したがって、体系的な毛づくろい比較というものはじつはそれほど単純な作業ではない。しかし、こういった複雑さを捨象した上であまりにも短絡的な比較作業をする研究が巷には氾濫しており、データに基づいてそういった研究を批判する論文を現在執筆中である。
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