研究概要 |
容器の中に2次元的に最密充填された球状粒子(ナイロン球,直径6.3mm)からなる粒状体の上表面に,球状飛しょう体(鋼球,直径6.3mm)を斜めに衝突させ(4〜15m/s),粒状体の衝撃挙動を調べた.粒状体の飛散挙動を高速ビデオカメラにより測定し,同条件下で行った離散要素法によるシミュレーション結果と比較した.これまでシミュレーションにおける粒子間モデルの粘性係数は計算中一定とすることが多かったが,本研究では粒子間の接触力に依存した粘性係数を用いることにより,従来に比べ粒状体の飛散挙動の詳細な部分も再現できた.そこで,シミュレーションから得られる粒子の速度および粒子間の接触力を用いて,飛散現象のメカニズムを調べたところ,飛しょう体と被衝突粒子の衝突位置および衝突角度に大きく依存し,粒状体中を伝播する接触力も重要な役割を担っていることがわかった.また,シミュレーションでは,衝撃点直下の三角形状の領域が主に圧縮され,衝撃後0.20msの底面近傍に動的アーチングが現れた.そこで,自作の応力センサーを用いて,底面の接触力の測定を行ったところ,動的アーチングの出現を意味するM字形分布がほぼ同時刻に現れた. 次に,ナイロン球からなる粒状体の一部にセラミックス球を挿入した異種粒子からなる粒状体への球状飛しょう体の衝突現象を調べた.セラミックス球を横方向に層状に入れたことにより,特にセラミックス層の上下で粒子の飛散挙動は大きく変化し,セラミックス層が無い場合に比べ,セラミックス層より上は大きく飛散するようになり,セラミックス層より下は飛散挙動が小さくなった.シミュレーションから得られた粒子の速度および粒子間の接触力を用いると,その現象はセラミックス層での接触力の反射およびセラミックス層を通過する際の接触力の減少が大きく影響していることがわかった.
|