研究概要 |
平成13年度において,1.「自動配置を実現する手法に関する数値実験」および,2.「検証実験用の実験金型製作および成形実験を実施した. まず,1においては,自律的な要素として定義される「行動要素」と「評価要素」の相互作用の結果によって冷却管配置を実現するシステムの頑健性を数値実験により検討した.その結果,冷却要素を高い自由度の中で駆動した場合は,非常に高い頑健性を示した.その反面,この要素を群として振る舞わせた場合では,頑健性が劣る事を確認した.これより冷却要素を群として振る舞わせる場合の駆動機構を開発する必要性を確認した. 次に,2においては,本システムで得られる曲線状の冷却管をもつ実験金型による検証実験を実施した.この際,3次元的に曲線状の冷却管をもつ実験金型は,詳細な検討の結果,通常の加工技術に基づいた工作が非常に困難であったため,2次元平面上で曲線状の冷却管となる実験金型を製作した.同時に,実際の射出成形サイクルに基づいた実験では,温度計測などが非常に困難であるため,これを疑似的に実現できる実験方法の検討およびその装置を構築した.なお,実験金型として,曲線状および直線上の冷却管をもつ実験金型をそれぞれ製作し,これらを比較して冷却性能を評価する.評価項目の一つである「冷却水による熱交換量」の結果により,曲線状の冷却管をもつ実験金型は,非常に高い熱交換性を示したことから,本システムで得られる曲線状の冷却管よる射出成形金型の冷却管自動配置に関する妥当性は検証できたと考えることができる.今後の展開として,積層造型技術なと駆使し,本システムで得られる金型内部において完全に3次元的な曲線状の冷却管をもつ金型を製作し,その冷却性能を検討することが考えられる.
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