研究概要 |
単結晶材料は結晶方位の異方性により材料の機能が大きく変化するため,これを利用して各種素子が実用化されている.しかし,この異方性という特徴は材料を加工する立場から考えると結晶方位を保証しながら加工する必要があり,これが大きな問題となっている.そこで本研究では単結晶材料の中でも特に角度精度の保証が数秒程度と厳しい有機非線形光学結晶に着目し,材料の機能を最大にする超精密加工法を確立する研究を行っている.現在,光学面創成装置上にレーザ光学系を搭載することで材料の機能を測定し,最適な結晶方位を決定した上で素子へ加工する超精密加工装置を開発しており,本年度の研究により主に以下に示すような研究成果が得られた. 1)材料に微少な角度変化を与える角度調整機構についてコンピュータ制御による自動制御を行うプログラムの開発を行った.ステッピングモータ駆動のゴニオステージと回転ステージにより2軸の角度変化を与えると同時にレーザ出力をコンピュータに取り込むシステムを構築した.このシステムを制御するプログラムを開発し,0.001°(3.4秒)の精度でレーザ出力が最大になる位置決めを可能にした. 2)光学面創成装置上に搭載したレーザ光学系の最適化を検討し,光源である半導体レーザの高出力化を行い,また,出力ミラーの直径を従来の10倍の直径にすることでレーザ出力の信頼性を向上させた. 3)光学面創成装置を用い有機非線形光学結晶のDASTの超精密切削実験を行い,切削速度,切込み,テーブル送り速度などの加工条件を変化させることで最適な加工条件の検討を行った.その結果,最適加工条件の元では,表面粗さ50nm Ry程度の面が得られることを明らかにした.
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