研究概要 |
差圧式流量計の絞り機構部分に用いられているオリフィスプレートを,高速流動研磨装置を用いて精密に研磨することを試みた.試料にはφ10mm, t=0.5mmのSUS304板の中心に,最も内径の小さい部分(A面側)で,400,300,80μmとなるようにプレスで加工したものを用いた.断面形状は,A面からB面にかけて,直線部分と穴径が拡大している部分があり,B面に近づくにつれてその拡大の度合いは大きくなる.また,穴径が異なっていても,流量特性に差が出ないよう相似形になるように加工してある.実験は,各内径のオリフィスプレートに対して,平均粒径5.5μmの砥粒を用い,砥粒濃度2.03vol%,研磨圧力1.98MPa,パス回数1〜10回として行った.スラリーの注送は穴形状を保つことを考慮し,B面側からのみ注送した.実験後の試料の評価については,加工後のオリフィスプレートを放電加工機を用いて,穴の中心を通るように切断し,SEM観察と表面粗さの測定を行った.さらに,それぞれの試料に対しN^2ガスを流して流量特性を計測した,その結果,パス回数が増加するにつれて拡大形状部分の表面粗さは低減するが,直線部分においては,過度のパス回数は内壁面の性状を悪化させることがわかった.ガス流量の測定では,穴形状が損なわれた試料に対して,明確な流量特性の違いが見られ,研磨の適否が判断されることがわかった.本実験の目的は,オリフィスプレート穴内壁面の粗さの低減を行い,形状を損なわずに真円度を保ったまま内径をコントロールすることである.表面粗さについては低減させることが出来たが,内径のコントロールに関しては,穴形状の変化様態を考慮して,最適な研磨条件を決める必要があり,今後の課題である. 尚,本研究の内容に関しては,精密工学会誌に論文を投稿中である.
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