研究概要 |
クリーンルームや真空中で使用可能な非接触機構として,磁気浮上システムが検討されてきた.既存の磁気浮上システムは,電磁石や永久磁石により,非接触浮上が実現されているが,必ず複数の不安定自由度を有するためフィードバック制御が不可欠であった.本研究では,テーブルの剛体6自由度運動のうち,最小の1自由度のみを制御することで,完全非接触浮上が可能な,永久磁石反発型磁気浮上システムの実現を目的とする. 本研究で提案するシステムは,テーブル固定側に反発力を発生させる4組の永久磁石を配置する構造とし,数値シミュレーションにより,移動方向を除く5自由度が安定となる永久磁石の配置条件を明らかにした.これを元に,テーブル部は,非磁性のステンレス,永久磁石にネオジム磁石を用いた移動テーブルを試作した.移動テーブル安定化のためには,永久磁石を移動部,コイルを固定部に配置したムービングマグネットタイプの1自由度DCリニアモータを,上記のテーブルシステムに内蔵し,フィードバックセンサとして,渦電流型変位計,コントローラとしてPIDコントローラを用いた1自由度のフィードバックシステムを構成した.試作したテーブルの質量は,15.3kg,外形寸法250×370×87mm,浮上量8.5mmである. 実験結果から,リニアモータを用いた1自由度制御により,テーブルの安定化が実現可能で,位置決め範囲±1.05mmを実現した.また,試作装置の剛性は,並進方向5300N/m,垂直方向9100N/m,ローリング42Nm/rad,ピッチング160Nm/rad,ヨーイング33Nm/radであった.
|