研究概要 |
内径5mmのアクリルパイプより流出される水の噴流に体積分率0.26%にて直径389μmの球形ガラス粒子を添加し,噴流噴出後の流動場を位相ドップラ法および粒子画像処理流速計にて計測した.噴流噴出流速は1.83m/s,周囲の水は0.01m/sの条件とした.位相ドップラ法は流体中に浮遊する粒子の速度と粒径が計測できるため,この機能を利用して時系列データを取得し,後処理により流体運動と見なせるトレーサ粒子(溶融白色アルミナ)速度と,球形ガラス粒子の速度を分離して評価した.本年度は,位相ドップラ法の粒径ダイナミックレンジの問題や球形ガラス粒子とトレーサ粒子の散乱光強度の差など,計測時の問題点がいくつか明らかになったものの,統計的に求められる平均流速と変動速度は十分な精度で計測できた.また,計測結果から球形ガラス粒子の局所質量流量分布が求められた.粒子を添加しない単相時と粒子を添加した二相時の水の平均流速と変動速度を比較した結果,局所質量流量と変動速度の変化率に関係があることが分かった.本研究の条件では,粒子の介在により水の平均流速も変化することが明らかになった.今回の実験に置いて,噴流出口で従来の固液二相流とは違う粒子数分布が観察され,この現象の原因となる要因について考察を行った.さらに,本研究ではまだあまり例のない粒子画像流速計による二相流計測も行うことができた.ガラス粒子とトレーサ粒子の空間的な濃度の違いにより,強い光源のYAGレーザを使用した場合は,位相ドップラ法にて計測したトレーサ粒子の速度分布によく一致することが明らかになった.しかし,ガラス粒子が高濃度で存在する箇所では過誤ベクトルが多くなるとともに,計測結果の信頼性が著しく悪くなることが明らかになった.
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