研究概要 |
浮遊粒子および流体の標識に異なる蛍光波長を持つ染料を使用し,3台のCCDカメラで光学的に分離撮影することによって,粒子の三次元運動と断面内速度の同時計測を行った.本年度は,堆積した微粒子群のせん断流によるリサスペンション現象を中心に実験を行った. 粒子には,平均粒径108μmのPMMA微粒子を用いた.流体には,屈折率を合わせるため,グリセリンと水の混合液にヨウ化カリウムを添加したものを用いて,浮遊粒子が可視化の障害とならないようにした.一部のPMMA粒子の表面を,紫外線で励起され青色蛍光を発する染料でコーティングし,マーキングされた代表粒子の運動を,2台のCCDカメラを用いて三次元PTV計測した.なお,粒子径が小さく回転運動を捉えることが困難なため,並進運動のみを計測した.一方,ローダミンBで染色した粒径5μmのナイロンビーズをトレーサとして流体に混入し,Nd:YAGレーザのシート光で励起した.トレーサ粒子の蛍光画像をもう1台のCCDカメラで撮影し,PIVによって断面内の速度ベクトルを算出した. ベルトを一定速度で走行させることにより,可動壁とそれに平行な固定壁との間にせん断流を発生させる水槽を製作した.固定壁面上に堆積していた粒子の一部が流体中に拡散し,定常状態になったのを確認して測定を行った. 平均速度分布については,粒子の運動速度と流体速度の一致が見られた.このとき,速度分布はクェット流とは異なり直線的でなくなるが,粒子濃度分布から粘度を推定して計算した流速分布と定性的に一致した.一方,粒子の速度変動については,測定領域に対して変動成分が小さいことから,十分に捉えることができなかった.今後は,固定壁近傍を拡大撮影することによって,粒子間相互作用による粒子の速度変動を計測し,乱れ強さ分布などを調べる予定である.
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