研究概要 |
本研究課題に関して、(1)現象の可視化、(2)分解率の飛行体衝突速度依存性の測定、を実施した。 可視化実験では、白色拡散光を用いてターゲット背後より照明し、不透明物質あるいは不透明領域を影絵として観測した。高速現象を静止画として観測するため、カメラにはゲート付CCDカメラを用い、10nsの露光時間で実験を行った。また、ターゲット物質としては、透明度の高いアクリル樹脂を使用した。まず、衝撃波反射容器なしの状態でアクリル樹脂のブロックに高速飛行体を衝突させ、ターゲット物質内部を伝播する衝撃波を観測した。この実験において、ターゲット物質内部では飛行体衝突位置からほぼ球状に衝撃波が伝播することを観測し、その伝播速度は理論的な予測値にほぼ一致することを確認した。次に、アクリル樹脂のブロックを衝撃波反射容器(SUS304,厚さ1mm)内に格納して、高速飛行体を衝突させた。この実験により、衝撃波反射容器による超高圧物質閉じ込め時間が約10μsであることが明らかとなった。本実験は、本技術において極めて重要である衝撃波反射容器のタンパー効果を可視化によって明らかにしたものである。 分解率測定実験では、飛行体の衝突速度を変化させて実験を行った。ターゲット物質には1,3,5-トリクロロベンゼン(TCB)を使用し、固体回収物質中に含まれるTCBの割合を定量することにより、TCB残存率を測定した。また、実験で使用した飛行体は、アルミニウム合金製で、その質量は2.2gおよび3.1gの2種であった。実験の結果、TCB残存率(分解率)は、衝突した高速飛行体の運動エネルギーによって決まっていることが明らかとなった。
|