研究概要 |
省エネルギーおよび環境問題の点から地域冷暖の温水・冷水の循環系に界面活性剤を添加し,その流動抵抗の減少を試みる研究がなされている.このことは,界面活性剤水溶液が機械的劣化の影響をほとんど受けないことから循環系に適用でき,実用的に優れた性質をもつことによる.本研究は循環系流れの中心を担うターボ機械の効率向上に直接関連する回転円板の流れおよび実機である遠心ポンプに界面活性剤水溶液が及ぼす影響を,実験的・解析的に明らかにしたものである. 平成13年度の研究で以下の2つの問題が明らかにされた. (1)ポンプ内部の界面活性剤水溶液の羽根車の円板摩擦損失特性を明らかにする為,タフト法を用いて容器内回転円板近傍の流れの可視化実験を行った.さらに,円管内乱流の対数速度分布を用い回転円板上境界層内の運動量積分方程式による流れ角の解析を行った.実験に使用した界面活性剤はEthoquad O/12水溶液の200ppmである.その結果,界面活性剤水溶液は回転円板近傍の流れの方向を円周方向外側に向け,このことが抵抗減少効果の要因であることが明らかになった.また,実験結果は解析結果とよく一致した. (2)界面活性剤水溶液を実機の遠心ポンプに適用し性能試験を行った.さらに,昨年度の研究で明らかになった回転円板摩擦抵抗に対する実験結果を基に,円板摩擦の減少がポンプの性能に及ぼす影響についての解析を行った.実験の結果,界面活性剤水溶液の濃度が小さい場合にはポンプ性能の変化はほとんどないことが判った.一方,濃度が高い場合には同一回転数で流量が増加すること,および低回転域においてポンプ効率が向上することが明らかとなった.また,界面活性剤水溶液中の回転円板摩擦抵抗に基づく解析結果はポンプ性能の実験結果とよく一致した.
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