研究概要 |
本研究では,乱流場における蒸発液滴の空気抵抗力,蒸発過程,熱および物質移動現象を把握することを目的として行っている.本年度は昨年度に製作した超音波液滴浮揚装置において,浮揚する液滴周りに乱流場ならびに高温場を形成するために装置の改良を行った.改良点を以下に示す. 1.ホーン形状:ホーン形状を数種類用意した.ホーン先端を平面にした場合でもホーン先端を浅皿型にしたものと同程度の安定性,最大粒径を達成することができた. 2.反射板(リフレクタ):反射板側から流れを吸入するために,ハニカム状の反射板を製作した.この反射板では液滴を浮揚させることができなかった.そのため,超音波振動子側から流れを吸入し,反射板に穴を設けることにより音圧場に液滴を注入できるように変更した. 3.管型:超音波浮揚装置内で形成される音圧場をガラス管で覆うようにした.また,振動子側から流れを吸入し,反射板側から排出するようにした.これより,音圧場に流れ場を生成することが可能になった.さらに,流入形路上にヒータを設置することにより,温度を制御することが可能になった. このように改良した超音波浮揚装置において,反射板の位置を変更することにより,液滴の浮揚状態の安定性,振動する場合の形状変化状態の観察を行った.画像取込ボードとCCDカメラを組み合わせて液滴の形状変化履歴を撮影できるように,システムの構築を行った.また,表面張力の異なる数種の液滴(水,エタノール,メタノール,イソオクタン,ヘプタン等)の浮揚状態を観察した.さらに,超音波振動子に与える印加電圧の値を変化させ,浮揚液滴の形状変化に与える影響を調べた.印加電圧を高めるに従い,液滴の扁平率は大きくなることが分かった.このように液滴を安定して浮揚できる状態を探しだし,蒸発液滴を浮揚させ,その蒸発履歴を観察した.蒸発履歴は直径の二乗が比例的に減少するD2乗則に一致することを確認した.
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