研究概要 |
平成13年度は,テザード群衛星システムの応用として,宇宙ステーションの組立・保守時における物資の繋留・運搬作業,および,不具合衛星に対する検査・キャスティング・捕獲・回収・軌道離脱作業などを自律的に行う,テザードサービス衛星の基礎研究を行った.具体的には,テザード衛星およびテザー先端にあるおもりからなるシステムの軌道運動を考慮したダイナミクスのモデル化・定式化を行い,数値シミュレーションによって,おもりの姿勢運動が無視できる場合に対して,テザード衛星のリール機構およびアームを用いた,おもりの位置・角運動量制御法を確立した.同様に,おもりの並進運動がシステムの質量中心を通る直線運動に限定される場合において,おもりの終端距離・姿勢振動減衰制御法を考案した.なお,昨年度行った本システムの回転運動協調制御では,各衛星が協力衛星でありスラスタの消費燃料を最小にすることが目的であったが,本研究では,制御対象であるおもりが非協力衛星であり,スラスタを用いることができないという特徴をもつ. また,昨年度製作したテザード群衛星システム用リール機構を,小型化・軽量化した新リール機構を開発し,リール機構のローラの動力学を考慮した張力制御則を組み込むことによって,制御の応答性を向上させた.さらに,このリール機構を,フラットフロア上を空気浮上する擬似衛星システム(既存)に搭載し,終端距離制御実験および姿勢振動減衰制御実験を行うことによってこれらの制御法を検証した. 本研究によって,本システムは,干渉観測等のミッションを行うための編隊飛行以外にも,上記のテザードサービスへ応用可能であることが示された.
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