研究概要 |
本研究では磁気ディスク装置の磁気ヘッド追従位置決め制御の精密化を目的として2年間研究を進めてきた. 本年度は,まず,位置決め制御の精密化のためのキーテクノロジーはヘッド位置決め機構の固有振動数の向上であることから,ヘッド位置決め機構の高共振化に焦点を絞り,位置決め機構単体の最低次逆相固有振動数を既存装置の約5kHzから約13kHzに向上させることを目標として位置決め機構の最適設計を行った.設計に当たっては2.5inchディスク1枚片面記録を仮定した.現存の装置では1枚片面記録の装置は存在しないが,記録密度が向上すると1枚片面記録でも十分な容量を得ることができることから,今後,情報家電などに用いられるローコスト機種には採用される可能性がある.本研究では,研究代表者らがこれまでに提案してきた位置決め機構の同相設計の概念を用いて駆動用のコイル位置をアーム中央に移動した高剛性軽量位置決め機構を提案し,有限要素法解析によりその動特性を明らかにした結果,最低次固有振動数が従来の位置決め機構の2倍以上である12.4kHzに高められ,目標の13kHzをほぼ達成できることが明らかとなった. 一方,提案する高共振位置決め機構の質量中心位置は位置決め機構の揺動中心軸から約4mm離れており,外部衝撃に対する耐衝撃性が悪化することが予想された.そこでさらに本研究では,装置を弾性回転支持する新たな支持方法を提案するとともに,簡略モデルを用いて支持位置および支持剛性の設計法を明らかにした.
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