研究概要 |
磁気浮上システムにおいてはシステムの動的安定性を向上させるために,何らかの制御系が必要である.このため,浮上のためのエネルギに加えて制御のためのエネルギが必要となる.このような必要性により,磁気浮上装置は大型化になり浮上系に悪影響を与えることになる.また,磁気浮上システムを輸送・搬送機械として利用した場合,絶えず振動にさらされることとなる.そこで本研究では,磁気浮上系の振動エネルギを電磁気的に回生し,回生したエネルギを用いてアクティブ振動制御を行う,合理的な磁気浮上系における振動制御システムの可能性を検討する. 本年度は主に1自由度の反発形磁気浮上模型実験装置により実験を行った.まず,模型実験装置を用いた振動実験により電磁気的なエネルギ回生が可能であることを確認した.次に,回生したエネルギを用いた振動制御の検討を実験とコンピュータシミュレーションにより行った.制御方法としては,浮上体の絶対速度をフィードバックするスカイフック制御を用いた.その結果,回生したエネルギのみでも振動制御が可能であることが明らかになり,外部からエネルギを供給するフルアクティブ制御に近い制御効果が得られることがわかった.ただし,回生したエネルギで制御を行う場合,条件によっては制御に必要なエネルギが不十分になり,フルアクティブ制御の場合に一致させることができない時もある.また,実験結果とシミュレーション結果が,比較的一致することから,モデル化の有効性が確認された.
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