研究概要 |
昨年度に引き続き,回折ビームスプリッターを用いたレーザー光の干渉による三次元微細周期構造の作製およびその理論についての研究を行なった。単純な計算では,作製される三次元構造物は体心立方構造をとるが,実際にはもっと複雑な構造をとることが判明した。そこで,光波の位相を考慮した計算を行なった結果,本手法により,フォトニック結晶構造の中でももっとも重要な構造の一つであるダイアモンド構造を作製可能であることが明らかになった。また,共焦点顕微鏡観察により,実際にそれが作製されていることも確認した。 これに加え,フェムト秒多光束干渉による多光子吸収を利用した周期構造物の作製を行なった。使用したフェムト秒パルスの可干渉距離は40マイクロ秒程度であり,通常の光学系で多光束干渉を行なうのは困難であり,また位相が不安定になるという問題を伴う。これに対し,本研究の光学系ではそれを容易に実現でき,これにより多光子吸収を利用して多次元周期構造を作製することが可能であると予測される。実際に作製を行なった結果,正方格子に配列したロッド群の作製に成功した。これらは多光子吸収の特性のために強固であり,構造を取り出して走査型電子顕微鏡で直接観察をすることが可能であった。 これら一連の発表は,国内・国際学会において口頭発表を行なうと主に,論文として発表した。この他2本の論文を準備中である。 また,本研究の過程で,顕微鏡に導入されるレーザー光の強度を正確かつ簡易に計測する方法を考案した。それを妥当性を実験的に確かめるとともに,理論的な解析を行なって,論文として発表した。
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