研究概要 |
研究では,低温プラズマ発生装置用の13.56MHzのスイッチング方式の高周波電源の開発を目的とする。平成12年度は,スイッチングデバイスとして使用するMOSFETを高速に駆動するドライブ回路の開発を行った。本研究では,ドライブ回路の主要部分に表面実装用素子を用い,配線インダクタンスを約6nHまで低減することにより,約10nsの高速なゲート駆動を実現した。しかし,ドライブ回路の損失が大きく安定な駆動特性を得るには至らなかった。 平成13年度は,MOSFETのゲート電荷によるドライブ回路の損失を低減するため,並列共振を用いたドライブ回路の開発を行った。並列共振形ドライブ回路では,MOSFETの入力容量と並列に接続したリアクタトルの共振によりゲートの充放電を行う。このため,ゲート電荷はリアクトルを通して放電し,電源に回生される。試作した並列共振形ドライブ回路では,ゲート駆動に伴う損失を8W程度に低減した。次に,開発したドライブ回路を用いてMOSFETを駆動し,一石コンバータ構成の高周波電源の動作特性を確認した。一石コンバータ構成は,リカバリ電流や上下アーム短絡の問題を生じることがなく,ゲート電圧のパルス幅に高精度な調整を必要としないため,高周波動作に適している。実験により,13.56MHzの良好なスイッチングを確認した。さらに,誘導プラズマ発生装置の負荷として用いられる直列共振回路を接続し,13.56MHzにおいて出力160W,変換効率80%の高周波動作を実現した。
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