研究概要 |
本研究は,高硬度薄膜,およびULSIデバイスにおける次世代の銅配系材料として有望視されている窒化タンタル(TaN)の薄膜を,安定性、操作性、再現性に優れ,結晶性の良い高品質薄膜を作製する方法として知られているパルスレーザデポジション(PLD)法によって作製することを目的としている。これまでに、本研究室のPLD装置を用いてTaN薄膜を作製し,薄膜作製時の外部成膜条件(基板温度,気圧,基板バイアス等)と作製した薄膜との相関を調べた。その結果,以下の様なことが分かった。 (1)薄膜の結晶性は基板温度の上昇と共に向上し、500℃以上で結晶性のcTaN薄膜が作製できることが分かった。 (2)薄膜の結晶配向性は,N_2ガス圧力の上昇とともに向上し,10Pa以上の窒素ガスを封入することによってcTaN(111),(200)の薄膜が得られる。 (3)磁界を用いることによりドロップレットを減少させることができることが明らかになった。 (4)3インチ以上の大面積基板上に、不均一度2%以下の均一な薄膜が作製可能であること等を明らかにした。 以上の成果は,JJAP(日)やThin Solid Films(米)等のジャーナルに報告し,従来得られなかった重要な知見を得たものとして,世界的に高い評価を得た。 本研究では、装置の都合上、作製した薄膜の高硬度材料としての性質や拡散バリアレーヤとしての性質が測定できなかったが、今後もこの点に留意し、継続して研究を進めてゆく予定である。
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