研究概要 |
本研究では,分散データベースが崩壊した後の一貫性回復機構について考察した. 平成12年度には,データベースの全コピーであるフルバックアップコピーの生成技法,および分散システムの一貫性維持に関する最適連携チェックポイント生成頻度について評価した.また,分散システムの障害回復技法の中心的な要素である,フルバックアップやチェックポイント生成を実行する分散アルゴリズムの起動プロセス決定の問題を取り扱い,非同期単方向リング上のリーダー選挙問題において,プロセスに故障が生じても正しく問題を解くことのできるアルゴリズム等を提案した. 平成13年度には,前年度に検討したチェックポインティングや分散アルゴリズムなど,分散データベースの障害回復機構を実現するための基本的な要素技術についてさらに考察し,また,それらを用いたシステムの評価と試験実装をおこなった.まず,前年度に扱った連携チェックポインティングに対峙する概念である,非連携チェックポインティングの最適生成頻度に関して考察した.具体的には,タイムワープ技法において,各プロセスが保持できるチェックポイントの有効世代数が有限な場合の離散時間モデル等を示し,シミュレーションでその有効性を示した.障害回復機構の試験実装としては,3台の同一のサーバを用いて対称型多重化サーバクラスタを構成した.このクラスタによって,障害発生後のサーバの縮退・復帰を、耐故障リーダ選挙アルゴリズム等に基づく分散アルゴリズムで実現できることを実際に示した.
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