研究概要 |
大規模離散事象システムの実時間制御を考える場合,システムの状態に柔軟に対応できるようより知的な状態フィードバック制御を行う必要がある.これまでに提案されている離散事象システムの状態フィードバック制御方法としては大きく分けて二つある.一つの方法は,全状態空間を生成して,生成された状態空間を元に制御を構成する手法(以下(a)法)である.もう一方の手法は,ペトリネットの構造を利用して,制御を構成する方法(以下(b)法)である.(a)法は,対象とするシステムが大規模な場合,状態空間が膨大となるので実時間制御に用いるのは不可能である.(b)法は,構造に制限を加えたクラスのペトリネットによって表現されたシステムにしか適用することができない. 本研究では(b)法に着目して研究を行ってきた。既存の研究成果ではペトリネットの構造に制限を加えたものにしか適用できなかったが,アンフォールデイィグを用いることによりあらゆる有界なペトリネットによるモデル化されたシステムに適用できるようになった。 また、可達性,被覆性の判定に重点を置いて研究を行った.これまでのアンフォールディングは対象とするペトリネットが有界である必要があった.ペトリネットが有界であるとは直感的には有限の状態数しか持たないということである.本年度の研究により無限の状態を持つペトリネットに対するアンフオールディングの生成,可達性・被覆性の判定が可能となった.
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