研究概要 |
本年度は,種々の材料が実際の構造物に適用された場合に,どのような挙動/変化・変質を生じるのかと言う点に焦点を置き,研究・検討を行った.実際の構造物としては,近い将来に稼動することが予定されている高レベル放射性廃棄物の地層処分に着目し,地層処分の際に変質変化を生じると予想されている岩盤と緩衝材(ベントナイト)という2つの材料を取り上げ,これらの挙動や変質に関して検討を行った.詳細を以下に記す. ・岩盤の長期的挙動/変質に関する研究 高レベル放射性廃棄物の処分は,地下500mから1000m程度の深度にトンネル(処分坑)を掘削し,そこに廃棄物を処分することとされている.処分施設には短期的な安定はもとより,超長期的な安定もまた確保されなくてはならないが,これまでに我が国で建設された各種構造物は,これほど長い期間の安定性を求められたものは存在しない.また,実績を遥かに超える深度であることから,処分坑を掘削する前に,予め数値解析を施し,処分坑周辺の岩盤の挙動を予測する必要性がある.そこで本研究では,掘削から廃棄物の処分までを,岩盤の変質ということに着目して解析を行った.解析より,感度の大きな解析パラメータの存在,岩盤ズリの埋め戻しの効果などが明らかになった. ・ベントナイトの変質に関する研究 高レベル放射性廃棄物の処分では,人口バリアと天然バリアという多重バリアシステムによって核種の移行の不拡散を期待している.その両バリアの直接的な接触をさける目的で導入されるのがベントナイトであるが,これもまた,超長期的な挙動については不明な点が存在する.廃棄体の熱,豊富な水がベントナイトを変質させる可能性があり,本研究では,ベントナイトの変質機構を把握すべく,実験を行い,さらにX線回折装置を用いて変質の有無を確認した.これより,乾湿の繰り返しなどによってもベントナイトが変質することが判明した.
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