研究概要 |
本研究は,土(特にシルト質土)や風化岩の間隙構造の評価・表現法を究明して,一方で,間隙構造の観点から粒度などの土質物性と不飽和土の浸透特性値との関係を検討したものである.本研究で得られた成果は次のようである. 1.シルト質土や風化岩の間隙径分布計測 筆者らの従来研究による砂質土の間隙構造評価に対比して,微細な間隙径をもつシルト質土や風化岩の評価を検討した.主に,間隙部分を毛管モデルで近似したときの間隙径分布を,筆者らが開発した「空気圧入法」による計測を試みた結果,(1)0.003〜0.3mmの範囲の間隙径を計測できることが確認され,その値は顕微鏡観察による間隙径と比較しても遜色ないものであった.しかしながら,(2)分布表現に関係する間隙体積量は毛管モデルに基づくと大きめに評価される傾向が認められたため,平行板モデルなどの適用を試みたが今後の検討事項とした. 2.土質物性による水分特性曲線の推定 砂質土やシルト質土を対象として,粒度から水分特性曲線を推定する手法を究明した.具体的には,従来のAryaやHaverkampの手法を参照しながら,粒度と間隙径分布の関係,間隙径分布と水分特性曲線の関係をそれぞれ検討した.その結果,(1)水分特性曲線は,飽和体積含水率,空気侵入値,中間的飽和度の直線勾配λの3要因で決定されることが判明した.(2)飽和体積含水率の値は福田らの粒度評価径によって大略を推算でき,空気侵入値の値は筆者らのβ_γ値と85%粒径を用いて求めることができる.また,(3)直線勾配λは粒度の均等係数によって表現できることを見出した.即ち,水分特性曲線は粒径と均等係数を用いて推定できることが得られた.
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