研究概要 |
幹線純流動調査データ(国土交通省)を用いて,国内幹線旅客の交通機関選択行動を分析した.上記データより県庁所地に居住するサンプルを抽出し,集計ロジットモデルにより,県庁所在地間の移動時の交通機関選択行動モデルを推定した.その際,同一のODにおいて複数の空港(航空経路)が利用されている場合には,これらを個別の交通機関であると考え,空港別の需要推計ができるよう配慮した. 国際航空旅客動態調査(国土交通省)を用いて,わが国を出国する日本人旅客の旅行行動を分析した.上記データより県庁所地に居住するサンプルを抽出し,下位層を空港までのアクセス交通機関選択,上位層を出国空港選択とする非集計ネステッド・ロジットによりモデルのパラメータを推定した.その際,空港アクセス機関の選択行動が交通手段の整備状況により大きく異なることが明らかとなったため,ここではサンプルを,(1)飛行機が利用可能な居住地と空港間のOD,(2)首都圏・近畿圏,(3)その他の3つにセグメントを施した. 上記の国内旅客と国際旅客の行動モデルを用いて,航空市場整備の評価を行った.ケーススタディとして,成田空港の暫定滑走路運用開始後の国内航空ネットワークの拡充を取り上げ,その影響を評価した.その結果,国際旅客の帰着便益は,成田空港への路線が整備される札幌,仙台,名古屋,大阪,福岡のみならず,その周辺県にも波及することが示された.また国内旅客の帰着便益については,上記の空港への路線が開設される千葉において特に便益が向上することが示された. なお,便数設定などの供給側の行動については現在外生的に与えているが,今後内生的に決定されるようにシステムの改良を進める必要がある.
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