研究概要 |
平成13年度の研究計画を以下に記す。 1)粒子群の空間分布可視化法の評価・改善 2)実際の室内環境(生活/作業環境)における試験的計測および実用性向上のための検討 3)粒子のレーザ蛍光・吸収特牲による組成分析 4)1)から3)の研究成果の発表を行い,研究内容の客観的評価および討議を行う。 以上の研究計画のもと,平成13年度中に行った研究実績を以下に記す. 研究計画の1)については,小型で低出力のレーザ光源を用いて,空気中を浮遊する微粒子群挙動を可視化する技術の開発を行った.細いレーザ光を従来の拡大平行光学系を用いて太い平行光にすると,そのレーザ光の直径(太さ)の二乗に反比例して光強度が減衰してしまう.空気中を浮遊する微粒子のサイズは数十ミクロンであり,それらの粒子からの散乱光強度は微弱である.そのため,粒子に照射されるレーザ光強度は高いことが必要条件である.これに対し,二次元レーザスキャニングデバイスを用いたレーザ走査平行光束光学系の開発を行った.同光学系により,レーザ光強度の密度を高めた状態で微粒子群挙動を可視化することが可能となり,小型で可搬型の計測システムが構築できた. 2)については,前記のレーザ走査平行光束光学系を用い,実際に空気中の浮遊微粒子群挙動を天候の変化にあわせてデータ収集を行った.得られた可視化画像を画像解析し粒子数密度の変化を定量的に調べた.その結果,天候の変化(晴天,雨天)により空間中を浮遊する粒子数密度が著しく変化することが明らかとなった.同手法により,春先の花粉飛散状況を空間的に計測する新技術開発の可能性が得られた. 3)については,光熱偏光分光法を用いえ微粒子組成ごとの濃度変化を計測する基礎的な研究を行った.同研究では,粒子に高いエネルギ密度のレーザ光を照射し,粒子から得られる様々な分光波長を調べ,組成や濃度と分光スペクトルとの対応関係を調べた. 4)平成13年度の研究成果発表として,9件の講演発表(内4件は国際学会)および1件の論文投稿を行った.そのリストを裏面に記す.国際学会にて講演発表を行い,海外での同様な研究開発を行っているグループとも討議を行ったが,本研究には高い関心が寄せられた.
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