研究概要 |
本研究は、千葉市域をモデルケースとして、保育施設利用者のニーズとその空間的分布、保育施設の配置、サービスの種類等について検討し、今後の保育施設整備計画のあり方について有効な知見を獲得することを目的とする。地域的な違いを考慮した保育環境の計画手法の検討することから、保育環境の現状を、「地域、保育施設、利用者」という3つのレベルから調査した。 (1)保育施設の利用者分布の調査分析 (2)保育施設の仕様の調査分析 (3)保育施設利用者へのアンケート調査と分析 (1)千葉市の認可保育所全88施設について利用者住所の調査を行い、保育所選択の空間的特性の分析・把握を行った。(2)全施設の平面図を収集しそのスペースと機能の分析を行った。(3)千葉市全88施設の利用者約9,000世帯(約6,800件回収)に対して、全利用者の住所、父親勤務先、母親勤務先、通園手段、保育所選択理由、2重保育、延長保育の有無、今後の保育サービスに対する希望等についてのアンケート調査を行った。保育所住所、利用者住所、父母それぞれの勤務先住所、最寄駅等々、それぞれの緯度経度座標を求め、地理情報システム上にて空間情報データベースを構築した。保育所選択特性、通勤手段の選択特性それぞれの空間的特性を分析するとともに、施設密度や国勢調査データから導かれる地域データとあわせて、地域特性および保育サービスの分析・評価を行っている。結果的に現在の保育所選択は、極めて多様かつ複雑であることが明らかとなっている。また利用者は、自宅最寄りの保育所ではなくより遠方の保育所を選択的に利用している場合が多く、その原因が保育所の受け入れ児童数の絶対量の不足に大きく起因していることが明らかになっている。なお、研究遂行過程で千葉市より依頼があり、千葉市のおゆみ野地域における新規施設の立地場所について実務的な検討を行い直接地域計画に貢献する機会を得ている。
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