研究概要 |
Ni-Al2元系では,BCCおよびFCC配列を基本構造とするβ(B2)規則相およびγ'(L1_2)規則相の存在が広く知られており,共にγ(A1)-Ni基合金の組織制御並びに高強度耐熱材料への応用が期待されている.また,第3元素としてFeを加えたNi-Al-Fe3元系では,磁気特性を利用した機能材料への応用などにβ(B2)相が不規則化したα(A2)相を交えた複雑な相平衡に関する解析が威力を発揮する.さらには,Ni_3Al-Ni_3Fe断面に広がるγ'(L1_2)規則相と磁気変態の相互作用が規則相の安定性及ぼす影響など興味は尽きない.本研究では,電気抵抗及びTEM観察によりγ/γ'相平衡を決定し,さらに,NiAl(B2)およびFeAl(A2/B2)アルミナイド相を考慮したAl濃度が50at.%以下の領域におけるNi-Al-Fe3元系の熱力学的解析を行った. 液相,FCCおよびBCC相の不規則状態の自由エネルギーを準正則溶体近似で記述し,L1_2およびB2の規則化のエネルギーをSublatticeモデルで追加した.3元系の熱力学的解析に基づきNi-Al2元系におけるB2型アルミナイド相の相安定性を評価した.さらに,Ni_3Al-Ni_3Fe断面上における磁気変態点の外挿値からNi_3Fe(L1_2)規則相の磁気変態点がA1不規則状態より約100℃高いことが明らかになり,その結果L1_2規則構造が安定化することが分かった.以上の知見に基づいて,Ni-Fe-Al(at.%A1<50)3元系合金の計算状態図のデータべースを構築した.
|