研究課題/領域番号 |
12750610
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
無機材料・物性
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
原 寿樹 理化学研究所, ナノ物質工学研究室, 基礎科学特別研究員 (50312252)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2001年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2000年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | C_<60> / フラーレン / 電子ビーム / 融合反応 / 電気抵抗率 / 電気伝導率 / van der Pauw / 赤外吸収スペクトル / 電界電子放出特性 / 密度汎関数法 / 三重項励起状態 |
研究概要 |
C_<60>薄膜に電子ビーム(加速電圧3kV)を照射することにより、分子間に融合反応が起き、ピーナッツの形状を持つ二量体が生成する。昨年度の研究では、水素ガス雰囲気下で電子ビームを照射したC_<60>薄膜の電界放出特性を調べ、照射後の薄膜の電界放出特性が向上することを見出した。この性質は、電子ビーム照射で誘起される融合反応により生成物のπ共役系が大きくなる結果、(1)Fermi準位付近の状態密度の増加と、(2)バンドギャップの減少が起きることが原因して考えられる。この仮定に従えば、照射後の薄膜の電気抵抗率が照射前に比べて減少することが予想される。 そこで今年度は、電子ビーム照射C_<60>薄膜の電気抵抗率をin situで測定した。電流電圧計と接続した四つの電極をCsI基板に接触させ、この基板上にC_<60>薄膜を超高真空下(10^<-9> Torr)で作成した。この薄膜に電子ビームを照射し、照射の前後で電流-電圧特性及び抵抗率を測定した。抵抗率の測定は、van der Pauw法を用いた。一方、電子ビーム照射後のC_<60>薄膜の構造を調べるため、抵抗率測定と同時にFT-IRスペクトルを測定した。 電子ビーム照射後のC_<60>薄膜のIRスペクトルから、照射時間とともに融合反応が進行していくことを確認した。薄膜の電気抵抗率は、予想どおり照射時間の増加にしたがって減少した。また、電流-電圧特性から、照射前に半導体であったC_<60>薄膜が、電子線照射後には金属に近い性質に変化することを見い出した。
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