研究概要 |
1SEM/ECP法とSEM/EBSP法の比較 従来から我々が行ってきたSEM/ECP法による組織評価とSEM/EBSP法の比較を行うため,アルミニウム単結晶に<011>引張変形を与えた試験片を用いて,変形・再結晶組織の解析を行った。その結果,従来のSEM/ECP法では判然としなかった,変形に伴う結晶回転の様相が明らかになった。再結晶粒が優先的に核生成する変形帯内部の結晶回転軸は,観察面(この場合は{0-11}面)法線そのものではなく,変形帯内での微妙な変形の差異によって変化する。また再結晶粒が変形帯内の微細組織に沿って成長する傾向も明らかになった。 2Fe-Si合金単結晶の<123>および<112>引張変形・圧延変形と再結晶 引張方向ないしは圧延方向が,<123>ないしは<112>であるFe-Si合金の変形(引張or圧延)と再結晶について調査した。引張変形においては,変形初期から試験片にくびれが生じ,変形はくびれ部に集中した。くびれ部内では交差すべりするすべり線が支配的で,直線状のすべりは一種類しか見られなかった。この様なすべりの特徴はやや低温(-30℃)で変形した試験においても同様であった。室温引張,低温引張試験片とも焼鈍による再結晶粒の形成は見られなかった。これに対して圧延試験片では,両方位共に交差すべりに加えて,二種類の直線状のすべりが観察された。また<112>試験片では,せん断帯の形成も見られた。焼鈍によって,両試験片とも再結晶粒が形成された。やや高温で焼鈍した<123>試験片は全面再結晶を起こしたが,<112>試験片ではせん断帯に沿って再結晶粒が形成された。再結晶粒の方位は,両試験片とも著しい偏りを見せた。再結晶粒の母相に対する結晶回転の回転軸は,<110>ないしは<112>軸と考えられるが,本研究で認められた回転軸は近接しており,どちらがより正しいかは明確ではなかった。
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