研究概要 |
本研究では大気圧中で生成する酸素ラジカルの簡易測定法の開発を行うことを目的としている。 当初GC-MSによる測定を計画していたが、低濃度(pptオーダ)における定量性に乏しいことから、光ガルバノ・レーザー分光による方法を用いた。これは0^-+光(860nm以下)→0+電子となる光脱離反応をおこさせ、脱離した電子を電流サンプリングプローブにより測定する方法である。 平成12年度までの成果として、2×10^3Paの圧力でのO^-,O_2^-ラジカルの測定に成功していたが、本年度の研究において、プローブの改良、放電形態の改良を加えることにより、5×10^4Paの条件において、酸素負イオンラジカルの測定に成功した。パルス放電(波高値2kV,パルス幅10μsec)の放電において、放電後1msまでの、O^-,O_2^-イオン濃度を定量的に導出することが出来、500μs後では2×10~5個/cm^3程度の酸素負イオンが存在していることが判った。 これにあわせて、大気圧放電時の酸素ラジカルの挙動をしらべるため、モンテカルロシミュレーションを開発し、放電中・放電後の各種ラジカル濃度を推算することに成功した。このシミュレーションの結果と、光ガルバノ法によるO^-イオン濃度の実験結果との比較をおこない、両者に良い一致が見られた。さらに、このシミュレーションを大気圧(10~5Pa)に適応し、大気汚染物質であるSO_2の除去について反応性を調べたところ、SO_2除去にはOHやOなどの中性ラジカルより、酸素負イオンによる除去反応が優性であることが示された。 また、光ファイバーを組み合わせ簡易測定法についても試作することができた。
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