研究概要 |
本研究では電極容量増大を目指し擬似容量をもたらす金属微粒子を気相プロセスであるプラズマCVD法を用いて担持させ、金属-活性炭複合電極を作製した。塩化白金酸溶液濃度0.064mol/l、プラズマ出力5W、10Wにて基板温度を150〜450℃の範囲で変化させたところ基板温度の増大とともに容量は増加し350℃のときに容量が最大となった。さらに、溶液濃度を0.064mol/lから0.32mol/lとし、プラズマ出力10Wで基板温度を変化させたところ、250℃のとき、306F/gと容量が最大になり未担持電極の247F/gに比べて24%増加した。 交流インピーダンス測定結果より円弧を1つとみなし電荷移動抵抗Rctを算出した結果、Pt粒子の凝集が見られた450℃ではRctが最大となり、未担持試料に比べて60%増大した。しかし、Pt担持電極では電極容量が増大するに従いRctは減少し、最も容量が高かった250℃の試料では未担持電極に比べ32%の減少となった。Ptを高分散化することで、電荷移動抵抗が小さく、高容量電極を作成できる。 擬似容量を考慮した等価回路を新たに作成し、電解液抵抗を含む直列抵抗成分をRsol、高周波側の小さな円弧の成分をC1, R1、低周波側の大きな円弧成分をC2, R2およびC3, R3としてフィッティングをおこなった。高周波円弧成分C1, R1は活性炭素繊維内部を表し、高周波側成分C2, R2は活性炭素繊維表面、C3, R3はPt粒子による擬似容量成分を表すと考えられ、基板温度250℃の電極評価結果ではC3はC2の8.4倍の値となり、Pt担持による擬似容量付加効果が示された。交流インピーダンス測定と新たに構成した等価回路解析により擬似容量付加成分の分離解析に成功し、気相拡散プロセスによるキャパシタ用複合電極の設計指針を示した。
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