研究概要 |
アルミ-吸着材ハニカム積層体である同時熱交換型除湿ブロックでは、それ白体の顕熱および潜熱(吸着熱)の連続除去により除湿性能が向上する。本年度は低温排熱駆動型のデシカント空調プロセスへの展開に際して、その効果と間題点の抽出を試みた。 試作した除湿ブロックはガラス繊維を基材とするシリカゲルハニカムとアルミハニカムとを交互に重ねたO.2x0.2x0.3mの直交型熱交換器類似体で、かさ密度は220kg/m^3、吸着材とアルミの重量比は1:1、層間の伝熱面積は5OOm^2/m^3である。実験において再生温度は50-80℃、半サイクル時間(吸着あるいは再生時間)は600s-1200sの間で変化させたが、原料・再生空気供給流速および熱交換面への冷却空気(外気=室温)の供給流速は0.5m/sに一定とした。 高湿度外気(温度30.6℃,湿度18.2g/kg)の除湿処理における吸着側出口空気状態と熱交換側出口の空気温度の経時変化を測定した。ここで吸着出口空気湿度の時間平均は10.9g/kgとなり、従来型の断熱吸着除湿操作における10g/kgよりも高い結果となった。しかし、除湿ブロックでは熱交換側空気による顕熱除去によって吸着材の冷却は早く、吸着開始から80秒後には断熱吸着では超えることのできない原料空気のエンタルピーを下回ることが示された。また、吸着熱除去によって50-500秒では従来型よりも著しく低い湿度の空気が得られた。この低湿度部分のみを利用することによって、冷却効果の大きいデシカント空調プロセスが構築可能であることが示唆された。 吸着・予熱・再生・冷却の4行程からなるデシカント空調プロセスの性能予測を行った。ここで、吸着行程にある除湿ブロックの冷却に温度の低い室内からの還気を用いることにより吸着熱除去効果が高まり、上記実験よりも低い湿度の乾燥空気が得られる。同時に還気は吸着熱を受け取って予熱されるが、これを加熱して再生空気とすることで省エネルギーが図れる。一方、除湿ブロックの予冷却で温度が上昇した空気は別の除湿ブロックの予熱に利用できる。理想的な空気状態変化が達成できた場合、給気と還気のエンタルピー差である冷却効果CEは25kJ/kg、COPは1.0を超える。
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