研究課題/領域番号 |
12750742
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
無機工業化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
内野 隆司 京都大学, 化学研究所, 助教授 (50273511)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2000年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | シリカガラス / 光化学反応 / 量子化学計算 / 欠陥 |
研究概要 |
GeO_2-SiO_2ガラスの光誘起屈折率変化は、いくつかの素反応が関わる複雑な光化学反応に由来すると考えられている。その中でも、約5eVに光吸収帯を持つ2配位Ge(Ge^<2+>)が関わる光化学反応がファイバー回折格子の形成過程に寄与していることが示唆されている。実験的には、光照射に伴いGe^<2+>がGeE'中心(先に述べたE'において、SiがGeに置き換わったもの)に変換することが確認されている。しかし、その変換機構の詳細は不明である。 そこで、本研究では、GeO_2-SiO_2ガラス中のGe^<2+>欠陥を摸擬したクラスターを用い、その欠陥構造がイオン化の過程で、どのような構造変化を引き起こすのかについて、分子軌道計算に基づき解析した。計算の結果、Ge^<2+>欠陥がイオン化によりGeE'中心に変換しうることが理論的に示された。さらに興味深い点は、GeE'中心の生成過程で、4員環という小さな環構造が形成さることである。光照射に伴うファイバー回折格子の形成過程で実際に3、4員環という小さな環構造が形成されることは実験的にも確認されており、この構造変化が光誘起高密度化(高屈折率化)の(ひとつの)起源であるとも考えられている。量子化学計算に基づき、Ge^<2+>のGeE'中心への変換過程と、高密度化につながる小さな環構造の形成過程を同時に示したのは本研究が初めてである。 さらに我々は、GeO_2-SiO_2ガラス中での電子トラップのメカニズム、SiO_2ガラス中におけるSi^<2+>欠陥から中性酸素欠陥への変換機構、及びE'中心の一種であるE_α'の構造モデルなどについても提唱した。ガラス中の欠陥構造は、その電子状態が比較的局在化しているため、本研究で用いた比較的小さなクラスター計算でも、現実の系で起こっている現象をかなりの程度まで再現できることがわかった。
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