研究概要 |
研究計画に基づき以下の検討を行い、以下のような実績が得られた。 1)シクロヘキセンなどの脂肪族アルケンの電解カルボキシル化については、種々検討を行ったが電解カルボキシル化は進行しなかった。しかしながら、1,3-シクロヘキサジエンなどの環状ジエンを用いるとジカルボキシル化反応が進行し、相当する2-シクロアルケン-1,4-ジカルボン酸を54〜93%の収率で得ることに成功した。さらに、ニッケル触媒を用いるβ-ブロモスチレンの電解ホモカップリング反応は高収率で進行すること、得られるフェニル置換ブタジエンの電解ジカルボキシル化も容易に進行すること、これらの2つの反応がワンポットで行えること等も明らかとした。 2)超臨界二酸化炭素を反応媒体としてフェニル置換アルケン類の電解ジカルボキシル化を検討したところ、収率よく相当するジカルボン酸を得ることができ、有機溶媒を用いた反応と比較してもほぼ同様の収率でジカルボン酸が得られることを明らかとした。 3)特異な骨格としてメチレンシクロプロパン構造を有するビシクロ[n.1.0]アルキリデン誘導体のアルケン部位に電子吸引性基を有する基質についてジカルボキシル化反応を検討した。その結果、カルボキシル化は容易に進行し、1分子もしくは2分子の二酸化炭素を固定化したモノカルボン酸及びジカルボン酸が基質選択的に生成した。また、得られたカルボン酸はすべてexo-異性体であり、カルボキシル化反応が立体選択的に進行していることを明らかとした。一方、ラクトンより容易に得られる環状α-アルコキシビニルトリフラートの電解カルボキシル化反応はニッケル触媒を添加することにより容易に進行し、相当する環状α-アルコキシ-α,β-不飽和カルボン酸を良好な収率で与えることを見出した。
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