本研究は、脂質修飾糖加水分解酵素を用いて炭酸超臨界流体中での位置選択的グリコシド転移反応を行うことを目的として行い、以下の成果を得た。 圧力と温度を変えることにより超臨界流体の密度と極性が自由に制御できるので、種々の反応条件下で酵素反応速度を検討したところ、酵素を失活させることなく反応性を自在にコントロールすることができた。 受容体としてのアルコール分子(R-OH)を変えて様々な有用配糖化合物を合成した。 リパーゼによるエステルの加水分解反応において、超臨界流体は水とミクロエマルジョンを形成することから、従来の含水有機溶媒系よりも加速効果が認められた。 また、糖加水分解酵素であるβ-ガラクトシターゼを脂質で修飾し超臨界流体中でさまざまなアルコール分子へのガラクトース基の転移反応を行った。超臨界流体では、圧力や温度を変化させることにより媒体の物性(密度や極性)をかなり自由に変化することができた。 配糖化反応は、難水溶性の薬物に水溶性や対生分解性を与えたりすることができる反応として有用であった。
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