研究概要 |
●不快帯域の適応騒音制御 平成12年度の成果に基づき,ウェーブレットを用いた不快な船室内騒音の時間周波数解析及び合成を行い,不快帯域同定の検討を行った.まず,船内を生活の場としているクルーによる騒音評価を行った.その結果,隣室の機関制御室との騒音の比較から400Hz以下を重点的に制御することが有効であることを明らかにした.ただし,400Hz下の全帯域において10dB程度の低減が必要であったが,ピーク値のみの低減効果(20dB)にとどまった.クルーによる聴感評価によると低減されたと言うより,騒音の音色が変わったという印象であった.この実験結果により入力信号の特性の影響が少ない適応制御手法の検討の必要性が生じた. ●制御アルゴリズムの検討 サウザンプトン大学音響振動研究所において文部科学省在外研究員(短期)の機会を得たので,効果的に制御を行うためにアルゴリズム面からの検討を行った.平成12年度の成果により,ウェーブレットによる相関解析で参照信号の同定は行えていたので,制御アルゴリズムにより制御器の収束性能を向上させることに集中した.ピーク値のみの低減にとどまってしまうのが,plant(アクチュエータとエラーセンサ間の伝達関数)特性と入力信号の特性によることを明らかにし,それを回避し高速に最適解に収束するアルゴリズムを開発した.また,従来のアルゴリズムとの比較も兼ねて,今までのアルゴリズムを系統的にまとめる作業も行った.
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