研究課題/領域番号 |
12760011
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
作物学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松井 勤 京都大学, 農学研究科, 助手 (70238939)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2000年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | イネ / 開葯 / 花粉の膨張 / カリウムイオン / 高温不稔 / 引き金 |
研究概要 |
1.多くのイネ科作物では開穎と同時に葯が裂開する。開穎が開葯を引き起こすメカニズムを明らかにするために、様々なイネ科作物を用いて、物理的な刺激や穎花内のガス・光環境と葯の裂開との関連性を調査した。その結果、開穎の原動力である鱗被の膨張が開穎時に子房の基部を圧迫し、これが開葯の引き金になっていると考えられた。イネ科作物における鱗被の膨張に対する花粉の膨張の素早い反応は、自家受粉率を高めるために進化したものと考えられた。 2.様々なステージの二条オオムギの葯をサンプリングし、断首後Macallum溶液を用いて固定し、葯内に形成されるカリウム塩の結晶の分布を観察した。その結果、セプタム裂開前の花粉粒内にはカリウム塩の結晶の形成は認められなかった。また、セプタム裂開後の花粉粒内には、浸透ポテンシャルの変化により花粉粒が膨張するのに十分と思われるカリウムが存在することが明らかとなった。これらのことから、花粉粒の膨張の原動力は、花粉粒外から花粉粒内へのカリウムイオンの移動であると推察された。 3.開花期の高温による不稔の主な原因は開葯の不良であることが知られている。開花期の高温がどのようにして開葯を阻害するのかを明らかにする目的で、開花期の高温が開葯と花粉の膨張に及ぼす影響を調査した。その結果、開花期の高温は花粉の膨張を阻害し、これが開花日の高温による開葯不良の主たる原因であることが明らかとなった。 4.高温耐性が異なる水稲を高温条件に遭遇させ、高温耐性の違いが、花粉の膨張の差異によるものか、あるいは葯自身の割れ易さによるものかを調査した。その結果、高温耐性の強い品種の葯は、それ自体が割れやすいことが明らかとなった。 5.高温耐性が異なる水稲品種の葯の構造を比較した。その結果、高温耐性の強い品種では、裂開腔がよく発達しており、これが葯の裂開を容易にしていると考えられた。
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