研究概要 |
本年度は,QTLに支配される形質を解析するための基礎となるニホンナシ遺伝子地図の作製を目指して,ニホンナシ品種間交雑'新高'×'筑水'のF_1集団において多型を示すAFLPおよびSSRマーカーの開発を試みた. AFLP解析では16組合せのプライマーセットについてAFLPパターンの解析を行った.その結果,両親間で多型を示したフラグメントが34種類確認された.両親間で多型を示したフラグメントのF_1集団における分離比を調査した結果,34種類のうち新高だけがヘテロで持っているフラグメントが14種類,筑水だけがヘテロで持っているフラグメントが3種類得られた.一方,新高においてホモのものが2種類,筑水においてホモのものが8種類,そして残り6種類のフラグメントはいずれの分離比にも当てはまらなかった. SSR解析では,4種類のリンゴSSRプライマー,GD12,GD15,GD96,GD100を用いてニホンナシのSSR増幅を試みた.このうちGD96とGD100の2種類では種々のPCR条件を試みたにも関わらずほとんどフラグメントが増幅されなかった.一方,GD12およびGD15を用いた場合にはSSRの遺伝子型を判別するのに十分なフラグメントデータが得られた.GD12では'新高'および'筑水'においてそれぞれ157bpまたは147bpの特異的なフラグメントが増幅され,フラグメントのF_1集団における分離はいずれもヘテロ型の分離比を示した.また,両親の遺伝子型はいずれもnullを含むと考えられた.GD15では'新高'および'筑水'においてそれぞれ139bpおよび142bpの二つののフラグメントが増幅された.これらのフラグメントもF_1集団においてヘテロ型の分離比を示した.これらの結果,リンゴで報告されているSSRプライマーがニホンナシにおいても有効であることが確認された.
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