研究概要 |
耐力壁に使用される木質系構造用面材である合板3種(ラワン・ラーチ・CSP)・OSB・MDFの市場流通品、および将来使用が予想されるパーティクルボードの試作品、計6種を対象とし、その主要な強度性能であるせん断および曲げ性能に関して統計的に検討した。さらに、統計的データを得るためのせん断性能評価法、および含水率の変化が曲げ性能の変化に及ぼす影響についても検討を行った。 面内せん断性能およびその評価方法 実大に近いせん断強度およびせん断弾性係数が得られるASTMによる従来型Two-rail shear法は、作業に多大な時間と労力を要するため、油圧クランプにより試験体を固定する簡便な方式を提案した。長さ・方式が異なるひずみ測定方法によるせん断弾性係数の値に差異はほとんど見られなかった。従来型および改良型の両者によるせん断性能はよく一致した。合板3種のせん断性能は同様な値を示し、ボード類はその2倍程度となった。改良型は、はく離や層内せん断破壊が生じにくいことから、統計的なせん断性能の評価法としてより有効な方法であることが判明した。 曲げ性能および使用環境・含水率によるその変化 実際の使用環境を想定した4種の相対湿度条件下(45%,65%,80%,90%,何れも20℃)におけるすべての面材の平衡含水率は木材のそれより低く、また合板がボード類よりも高い値を示し、その変化幅も大きかった。4点曲げにより測定された平行方向の曲げ強度および曲げヤング係数は、各環境下とも合板がボード類よりも高い値を示し、合板3種はほぼ同程度の値であった。合板・OSBでは平行・直交方向間の異方性が顕著であった。各面材料とも、含水率の変化に対する曲げ性能の変化が直線的であったため、含水率1%あたりの曲げ性能の変化率を導出した。このことにより、含水率変化に対する曲げ性能の変化および材料間の差異を定量的に評価することができた。
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