研究課題/領域番号 |
12760119
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
林産学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
北岡 卓也 九州大学, 大学院・農学研究院, 助手 (90304766)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2001年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | サイズ剤 / アルミニウム化合物 / カチオン性高分子 / X線光電子分光法 / 熱分解GC法 / サイズ成分の分布挙動 / マイクロフロキュレーション / サイズ性応答因子 / 表面サイズ処理 / エマルジョンサイズ剤 / サイズ性発現効率 / サイズ成分の分布状態 / 繊維表面荷電 |
研究概要 |
紙の重要な表面特性である機水性(サイズ性)の機能発現メカニズムについて、エマルジョンサイズ剤による表面処理シート表層のX線光電子分光分析(XPS分析)を中心に以下の知見を得た。 1.シート中のカチオン成分がサイズ性発現に重要な役割を担っており、ロジン系サイズ処理であってもアラム(紙の劣化成分)を使用する二となく、ポリアミドアミンニピクロロヒドリン樹脂やポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドのような4級カチオン性高分子で代替することが可能であった。 2.サイズ処理後に気相Brラベル化することによって、2D-XPS分析によるマッピングが可能となった。この新規な手法により、従来提唱されていたサイズ成分の均一な分布に加えて、水の浸透に対するサイズ成分の分布安定性の重要性が明らかとなった。 3.ロジン成分のモデル化合物としてアルキル直鎖とカルボキシル基を有する脂肪酸を適用することによって、より詳細なサイズ紙表層のXPS元素分析が可能となった。その結果、シート中のサイズ成分量が同じであっても、繊維表面のサイズ成分由来のXPS光電子検出量と紙のサイズ性との間に極めて高い相関関係が確認された。 4.XPSと熱分解GCを組み合わせることによって、シート表面のサイズ成分の微小な凝集挙動を評価することが可能となった。これは、これまでのSEMによる客観性にやや疑問の残る手法と比較して、信頼性が非常に高い。この手法を利用して、極少量のサイズ成分が紙のマクロな撥水性に効率的に寄与するサイズ性発現メカニズムの最重要課題であるサイズ応答性(サイズ性発現効率)について、アルキル鎖の異なるサイズ成分の混合とシート中のカチオン成分の存在が、どちらもサイズ分子の凝集抑制効果となって現れ、シート表面のサイズ分布をより均一にし、紙のサイズ性を決定していることが明らかとなった。
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