本申請研究の目的は、道東・三陸沿岸域において濃密に分布するオキアミ類に対し、その3次元分布構造の解明と資源量推定法の開発を行うことである。申請年度内において、以下の研究事項に従事し、結果を得た。 海洋水産資源開発センターによるスケトウダラ・オキアミ資源調査(北海道太平洋沿岸域、2001年6月10〜7月30日、2002年1月6日〜2月4日)において、2周波(38kHz、120kHz)計量魚探による音響情報、CTD、X-CTDによる海洋環境情報、ボンゴネットによる生物採集情報を収集した。 次に、調査で得られた音響情報および生物情報より、音響周波数特性を利用したオキアミ類のサイズ別判別を試みた。生物情報より本調査海域におけるオキアミ類の体長を等価球半径で標準化した結果、そのサイズは、小(0.027mm≦等価球半径≦0.075mm)、中(1.72mm≦等価球半径≦2.47mm)、大(3.47mm≦等価球半径≦3.76mm)3階級に分別された。得られたサイズ階級情報より、音響周波数特性を利用したオキアミサイズ判別を行った結果、それぞれのサイズ階級におけるオキアミの定量的な音響情報の抽出が可能となった。また、抽出したオキアミの音響情報と、水深情報、水温情報等をGIS技術を用いて重ね合わせることにも成功した。 今後はこれらの結果をもとに、3次元表現、4次元表現の技術の高度化を目指すと同時に、スケトウダラ等のオキアミを餌としている生物の情報とのリンクを図る予定である。
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