研究概要 |
1.イトウマイクロサテライトマーカーの開発 昨年度に単離したマイクロサテライト陽性クローンを解析し,35セットの解析プライマーを設計した。 (イトウの系統は,遺伝的多様性が非常に低く-下記参照)解析プライマーのうち,23セットで多型性を検出した。 2.イトウ(Hucho perryi)解析家系の遺伝的多様性の検討 昨年度に作出したイトウ4家系の親魚および稚魚の鰭,血液等からDNAを抽出し,上記で開発した解析プライマーを用いて遺伝的多様性を検討した。その結果,イトウ家系を作出出来る世界で唯一の研究機関(北海道大学,七飯養魚実習施設)で継代飼育されているイトウの系統は,遺伝的多様性が非常に低いことが明らかとなった。今後は,天然魚等から新たな遺伝的多様性を導入する必要があると考えられた。 3.ニジマスマイクロサテライトマーカーを用いたイトウにおけるDNA多型性の検討 本課題で作成したニジマス遺伝子地図で用いられた95個のニジマスマイクロサテライトマーカーを用いて,イトウにおけるDNA多型性を検討した。その結果,本研究に用いたイトウは遺伝的多様性が低いこともあり,6個のニジマスマイクロサテライトマーカーでのみ多型性が検出された。 4.イトウマイクロサテライト遺伝子地図の作成 本研究で開発したイトウマイクロサテライトマーカーと,イトウで多型性を示すニジマスマイクロサテライトマーカーを用いて,イトウ遺伝子地図を作成した。しかし,イトウ解析家系を作出可能な世界で唯一の研究機関で解析家系を作出したが,遺伝的多様性が非常に低く当初予定していた数のマイクロサテライトマーカーでの情報が得られない結果となった。 5.2年間の総括 サケ科魚類の遺伝的多様性を解析し,ゲノム情報の有効利用を推進することを目的とした本課題が,作成したニジマス及びイトウ遺伝子地図は,今後のゲノム情報利用育種研究等に貢献することが期待できる。
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