研究概要 |
1.現地調査 静岡県和田島頭首工において所期どおりの機能を発揮していることを確認した。また、和田島に引き続き施工された、宮城頭首工(興津川)、里在家頭首工(倉真川)においても現地調査を行った。両頭首工ともにカスケード部への土砂の堆積もなく、所期の機能を発揮していたが、宮城頭首工においては下流護床工上に不規則な土砂の堆積があり、湾曲部での施工の課題も明らかになった。 2.水理模型実験 平成12年度に引き続き、実験対象として、カスケード部が3段のステージからなる和田島頭首工を取り上げ、下流護床工の効果的な設置位置の決定方法を確立するために水理模型実験を行った。実験模型装置は、水路幅を200mmとし、その他の水理諸元はフルードの相似則により原型の1/10とした。第3ステージの流況が、常流から射流へと移行する流量が大きいほど効果的であるとした。流況の判定は目視によって行ったが、確認のために水位測定も行った。実験条件は、各ステージの体積と護床工の高さが違うことによって生じる水クッション部の体積との比を変えることによって設定し、水クッション部の深さは原型どおり600mmのほか、400mm、800mmについても行った。その結果、深さ800mmの場合には、第3ステージの流況が射流となると、露出射流のまま下流護床工上を水が流下するため水クッションの効果は見られなかった。一方、深さ400mm、600mmの場合は水クッションの効果が現れたが、その効果は、600mmの方が高かった。したがって、和田島頭首工のように、第3ステージのエンドシル天端と水クッション底床部との落差が1,000mmの場合には、水クッション部の深さが600mmで、ステ-ジと水クッション部との体積比が1:1.2程度となるように設計することが望ましいとの知見を得た。
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