研究課題/領域番号 |
12760199
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
基礎獣医学・基礎畜産学
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
志水 泰武 岐阜大学, 農学部, 助教授 (40243802)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2001年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 味覚 / 視床下部腹内側核 / 嗜好性 / 肥満 / 鼓索神経 / 高脂肪食 / 糖尿病 / 過食 |
研究概要 |
本研究では、嗜好摂取行動と味覚器機能が連動して変化することを明確にし、その生理学的な意義を追究することを目的とした。満腹中枢である視床下部腹内側核(VMH)を破壊したラットは、糖質に対する嗜好性の亢進、苦味に対する過応答など特有の行動を示すが、糖質嗜好性の要因として、味覚神経のひとつである鼓索神経の少糖類に対する応答性が高まることと、多糖類と少糖類の味が混同されることが示唆された。鼓索神経の甘味応答亢進は、VMHを破壊せずに、高脂肪食給餌によって作成した肥満ラットにおいても認められたので、VMH破壊そのものより、肥満に伴う変化であることが明らかとなった。これらのラットは、いずれも高血糖、高インスリン血症であり、糖代謝異常が存在することが伺えた。そこでストレプトゾトシンを用いて1型糖尿病モデルラットを作成し、鼓索神経の応答性を調べたところ、VMH破壊ラットや高脂肪食給餌ラットと同じように、甘味応答の増大が観察された。これらの結果から、組織の糖利用が円滑に行われないことが誘引となり、糖質に対する味覚神経の応答性亢進と糖質嗜好性が発現するものと考えられる。一方、VMH破壊ラットが苦味に対して過敏となることについては、鼓索神経、舌咽神経舌枝の苦味応答および苦味刺激後の延髄孤束核、結合腕傍核におけるFOS発現に正常ラットと差が認められなかったことから、上位中枢における情報処理過程で変化が発現するものと推察される。これらの研究を通して、摂取行動の変化は必ずしも末梢味覚器の機能変化を伴うものではないが、特定の状況においては味覚機能を積極的に変化させて、有利な摂取行動を誘発することが明確となった。
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