研究課題/領域番号 |
12760203
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
基礎獣医学・基礎畜産学
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
寺岡 宏樹 酪農学園大学, 獣医学部, 講師 (50222146)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2000年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | ゼブラフィッシュ / セロトニン神経発生 / sonic hedgehog / tiggy-winkle hedgehog / トリプトファン水酸化酵素 / ミュータント / 中枢神経 / fibroblast growth factor / floating head |
研究概要 |
摂食、睡眠など脳のセロトニン(5HT)神経機能の重要性についてはよく知られているが、その発生・分化・維持機構についての知見は不足している。本年度は、中枢5HT神経の発生機構について検討するため、既に発表されているが殆どその性状が知られいていない2種のゼブラフィッシュ(ゼブラ)ミュータントを中心として解析を加えた。 1)12年度の本補助金によって我々が新規にクローニングした5HTの律速合成酵素であるトリプトファン水酸化酵素(zfTPHa)のIn situハイブリダイゼーションを用いたスクリーニングの結果、脊索や神経底板の一部に欠損を示すミュータント(仮名U111)の脳幹縫線核領域の5HT神経の欠損を発見した。U111はIslet-1やgata3など他の脳幹神経マーカーを欠損していたことから、5HT神経の特異的ミュータントではない。 2)SSLPマーカーを用いて、U111がwinged helix型転写因子の1つ(仮名wh1)に点突然変異を持つことを見いだした。 3)U111は神経底板と中脳の一部のwh1の発現低下を示した。Nodal関連遺伝子2の機能欠損ミュータントであるone-eyed pinheadのwh1の発現が消失していたことから、wh1はnodal関連遺伝子の下流にあるものと思われる。またU111は後期発生過程において、神経底板のsonic hedgehogとtiggy-winkle hedgehogの発現減弱を示した。これはヘッジホッグシグナル因子であるsmoothened欠損ミュータントであるslow muscle omittedと類似していた。 4)既に一部の知覚神経欠損を示すとして報告されているミュータント(仮名U112)は視床下部にみられる3つの5HT神経をいずれも完全に欠損していた。またU112は5HT抗体染色、のmRNA発現レベルとも脳幹縫線核領域の5HT神経の顕著な変形を示し、中脳後脳境界領域にまとわりつくように発現していた。この変形はNkx2.2発現の変形と一致していた。 これらの成績はnodal関連遺伝子の下流でwh1が神経底板のヘッジホッグシグナルの発現を介在し、その結果として縫線核5HT神経発生に関与することを示唆する。現在この機序をさらに検討中である。
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