研究概要 |
前年度に本研究補助により開発した動物の体動モニターシステムおよび、睡眠覚醒レベルの同時判定システムを用いて視床下部室傍核(PVN)単一ニューロン活動を記録した。これらを用いて以下に示すような自発行動に伴うPVN領域の種々のユニット活動について調べた。1)飲水行動に伴うPVNニューロン活動;これまでに麻酔下ラットで記録されたVasopressin neuron特有の発火パターンとされるphasic patternを示したSingle unitが最近になって記録出来た。このneuronについて自発的な飲水行動時のユニット活動を記録できたが、飲水行動開始前には変動がなく、飲水開始後も発火頻度の減少は明らかではなかった。しかし飲水終了後約30分くらいから発火頻度が減少することが明らかになった。2)Air jet stressに対する反応;ラット頭部に固定したノズル先端より顔面に向けて流量51/minで5-20秒程度の刺激を行なった。また再現性を確認のために時間をおいて最低5-10回の刺激を繰り返した。これまでに記録出来たneuronはair jetに対して反応を示すものと、無反応のグループがあり、neuronの分類に利用可能であることが判明した。それぞれのneuronには再現性があることが確認出来た。 Air jetに反応するneuronはair jet開始直後からfiringが変化し、動物体動モニターシステムにより、体動開始前より反応が始まることが明らかになった。また、この刺激を開始する際に睡眠覚醒レベル判定システムを指標として睡眠時と覚醒時に分けて刺激を行なった。その結果反応を示すneuronは、覚醒時よりも睡眠時の反応が大きく見られることが明らかとなった。この睡眠時の刺激によって明らかに覚醒が引きおこされる場合も多数みられた。3)Non-REM, REM睡眠と覚醒時のneuron活動; Air jetに対して発火頻度の増大反応が見られるneuronについてその自発放電を調べたところNon-REMから覚醒に変化する際に発火頻度が増大することが明らかとなった。また反対にAir jetに対して発火頻度の減少反応が見られるneuronはその自発放電がこの時期に減少することが明らかとなった。この二つのグループには部位特異性が示唆されるが異なる検討が必要であると思われる。
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