研究概要 |
リアノジン受容体(RyR)は骨格筋の興奮収縮連関において、Ca^<2+>の細胞質への供給経路として重要な役割を果たしている。他方RyRは、CA^<2+>により開口するCA^<2+>によるCa^<2+>放出(CICR)チャネルの性質をも有するが、種々の実験結果からCICR機構は骨格筋の興奮収縮連関における生理的CA^<2+>放出機構としては機能しないものと考えられている。つまりRyRは、筋小胞体の膜上で、異なる刺激に対して異なる様式で開口可能なチャンネル蛋白質である可能性を有している。しかし、この2種の開口モードがそれぞれチャネル分子のどのような分子形態に基づくものかまだ明らかにされてはいない。本研究は、この二つの開口様式が細胞内でどのように調節されているのかを、ダントロレン(Dan)およびその誘導体のCa^<2+>放出への影響およびRyR1蛋白質への結合性を解析し、その分子レベルでの解明を目的とした。研究代表者は骨格筋の生理的Ca^<2+>放出をダントロレンと同様に強く抑制するものの、CICRに関してはDanとは異なり抑制効果をほとんど発揮しない誘導体を多数発見した。(Ikemoto et al.,2001)。さらに、これらの生理的Ca^<2+>特異的に抑制する誘導体が、骨格筋において特異なCa^<2+>放出を引き起こすClofibric acid(Ikemoto & Endo,2001)の作用を強く抑制することをも見出している。一方、その構造中にヨウ素およびアジド基を含む誘導体を用いた光親和性標識実験においては、筋小胞体上のRyR1とは異なる低分子蛋白質とともに膜画分ではなく可溶性画分にも特異的結合を示す蛋白質の存在も見出している。この可溶性分子はある条件下でRyR1と結合している情報も得ている。これらの実験結果はRyRの機能的調節機構を解明するための重要な情報であると思われる。
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