研究課題/領域番号 |
12770058
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医化学一般
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
竹森 洋 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90273672)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2001年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 副腎皮質 / ステロイド / 蛋白リン酸化酵素 / 塩 / 転写調節 / cAMP / PKA / 核外移行 / SIK / ACTH / CYP11A / StAR |
研究概要 |
これまでに塩誘導性キナーゼ(SIK)は副腎皮質細胞において、ACTH/cAMPシグナル経路で一過性に誘導されること、誘導されたSIKはやはりACTH/cAMPによって誘導されるステロイド合成酵素の遺伝子発現を抑制することを明らかにしてきた。本年度はSIKにより抑制される遺伝子のうちステロド合成の最初のステップであるCYP11A遺伝子に着目し、そのプロモター上のSIK標的配列を同定した。SIKの標的配列はcAMP応答配列として機能するCREと呼ばれる配列で、SIKはCREに結合するCREBの転写活性化能をCREBのbZIPドメインを介して抑制することを明らかにした。さらに、SIKによるCREBの抑制にはSIKが核内に存在することが重要で、逆にSIKが核外へと移行する条件下ではSIKはCREBを抑制できないことも示唆された。SIKの核外移行にはcAMPで活性化されるPKAによるSIKのSer577のリン酸化を介することが明らかとなり、Ser577をAlalこ置換するζとで、PKAにリン酸化されない変異SIKは絶えず核内に留まり、強いCREB抑制活性を示した。これらのことは、SIKがPKAに依存して核外移行することによりcAMPシグナル系のON/OFFの切り替えがより速やかに行えることを意味し、cAMPシグナルの強弱や持続時間をより鮮明する役割があるものと考える。マウスSIKのゲノムを解析した結果、SIKのACTH/cAMPによる誘導もプロモター上のCREを介することが明らかとなり、SIKの核内外移行が自らの遺伝子発現抑制すなわち、過性の発現を実現する機構であることが示された。現在、SIKの細胞内基質や核内外移行に関与する因子の同定を試みている。また、本研究から、SIKにはよく似た別の遺伝子(SIK2)が存在することが明らかとなったため、SIK2に相当するcDNAを単離し、発現機能解析も行った。その結果、SIKおよび、SIK2はステロイド産生の調節に関与するだけではなく、細胞分化にも関与することが示唆された。今後、SIKファミリーによる生体レベルでの役割解明も試みる。
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